洋梨とバックロールエントリー

敏宮凌一(旧・敏宮龍一)によるブログ。

『ある山下テツローの場合』→第2.5話

※今月13日に、当方のネット環境に問題が発生したために、日を改めてブログに公開されなかった内容を公開しています。


第2.5話:ある遺体移送、マックス缶が身に染みる・・・の補足
この「第○.5話」と書いてあるエピソードは、『ある山下テツローの場合』の各エピソードの更なる補足情報や編集作業中のウラ話などがあった場合に掲載するものである。

ある遺体移送

©2021 Ryoichi Satomiya

 彼が書いていた2008年1月3日のテキストの中に、医大への献体に関する内容があったが、この*1献体」については、イタズラ防止対策や「個人情報保護法」などの都合で、ネットで公になっている情報が少ないために
よく分からなかったりする・・・。
そこで、ここでは献体についての事を掻い摘んで書こうと思う。

そもそも献体とは、医大と歯学大学における解剖学の教育・研究と日本の医療技術向上に役立たせるために、自分の遺体を無条件・無報酬で日本の医大・歯科大学に提供することである。ちなみに人間の遺体の解剖は、国立・私立問わず日本の医大・歯科大学では必修科目である。

献体の申し込み方については・・・
まず献体を考えている人は*2死後に自分の身体を提供したい日本の医大・歯科大学を決めて、提供したい医大・歯科大学を決めたら、ネット上にある*3「白菊会」のウェブサイトや*4献体篤志家団体のウェブサイトに問い合わせる。
自身を受け入れてくれる医大・歯科大学が決まったら、後日に献体篤志家団体などから届く書類に必要事項を記入して、*5自身の肉親の中の発言力がある人からの同意を必ずもらってから、書類を返送する。この自身の肉親からの同意というのは、多くの医大・歯科大学・献体篤志家団体では必須であるが、一部の医大・歯科大学では、交渉次第で様々な事情で肉親または身寄りがない人も申し込むことが可能になることがあるという。
そして返送してから数日から数か月後に、「献体登録証(または「会員証」)」が届くので、後は自身が亡くなるまで肌身離さず持ち続ける。

そして、自身の死。
残された家族は「献体登録証」に記載されている遺体の提供先(医大・歯科大学・献体篤志家団体)へ速やかに連絡し、遺体の引き取り日時や手順を相談する。更に献体する前に葬儀をしたい場合は、対応してくれる葬儀社のほうにも連絡して「葬儀終了後、遺体は献体する」という事も必ず伝える。なお献体の場合、(家や病院などの)安置場所から遺体の提供先(医大・歯科大学)までの遺体運搬費用と後に行われる火葬代だけは遺体を受け付けた医大・歯科大学のほうで負担してくれる。

献体された遺体は、その後「防腐処理」などを施し、医大・歯科大学の解剖実習の教材となって、出番が来る時までは医大・歯科大学側の施設で保存される。ちなみに教材になった遺体の出番が来るのは、医大・歯科大学側の授業スケジュールなどの都合にもよるが、半年から2年かかるという。ほかにも、解剖実習自体が段階的に行われることや長期間かけて行われたりもするため、遺族のもとに帰ってくるまでは1年から3年以上かかることもあるという。献体を考えている人とその遺族は、これらのことも承知しておかないといけない。

こうして解剖実習の教材としての役目が終わると、その後火葬されて、遺骨になって遺族のもとへ帰される。だが、生前の希望や遺骨の引受先が分からなくなっている場合は、医大による共同墓(または納骨堂)へ納められるという。

かつて、死後に献体を選ぶのは少数派だと言われていたが、近年は高齢化社会・葬儀費用の節約目的・残される遺族の負担軽減などの理由で、献体を希望する人が年々増えてきている。しかし、地域ごとに定められている*6献体の年齢制限と*7献体登録数の都合で、問い合わせの段階で断ったり、申し込みや受付自体をやめる医大・歯科大学も出てきているという・・・。

なお、献体について詳しく知りたい場合は、お近くの図書館や「葬儀葬式ch有限会社佐藤葬祭」などの動画サイトなどを検索していただきたい。


→今度こそ、第3話へつづく・・・。

 

参考資料
公益財団法人日本献体篤志協会「献体について」
http://www.kentai.or.jp/what/01whatskentai.html
サルでもわかる葬儀の新常識
「葬儀代が浮く?急増する「献体」の手続きとお葬式のやり方」
https://memories-in-time.net/kentai/小さなお葬式「献体をする場合の手続きや葬儀・葬式について」
https://www.osohshiki.jp/column/article/124/
NIKKEI STYLE 安心・安全 2016/3/28
「「最後は献体で」 登録が殺到、受付一時停止も」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO98856050V20C16A3NZBP00

*1:「けんたい」と読む。大学などによっては「篤志献体(とくしけんたい)」などの独自の呼び方をしていることもある。

*2:解剖実習の教材にする処理の都合で、良い状態のうちに搬送する必要があるため、献体登録ができる大学は希望者が住んでいる地域の最寄りの医大・歯科大学に限られている。

*3:「しらぎくかい」と読む。1955年に発足された日本の献体組織。公立・国立・私立の医大または歯科大学や最寄りの役所の中に“支店”のようなものがある。

*4:「けんたいとくしかだんたい」と読む。献体の趣旨を広く国民に伝えて、その実態の調査・研究、日本中の献体篤志家団体の助成などを行い、医学の発展のために活動する団体。

*5:ここでは、肉親(いわゆる“産みの母”と“育ての母”も含まれる。)・子供・兄弟・姉妹のことを指しているという。

*6:医大・歯科大学によっては、若い年齢の人より高齢の人が優先される傾向にあるという。

*7:医大・歯科大学がある地域の人口によって、献体登録していい遺体の数が決められている。