洋梨とバックロールエントリー

敏宮凌一(旧・敏宮龍一)によるブログ。

『ある山下テツローの場合』→第4.5話

第4.5話:ある派遣会社の話、あるアルバイト社員研修、1月の大雪・・・の補足

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©2021 Ryoichi Satomiya

第4話の冒頭に載せた文章に出てきた“ある派遣会社”の事について書くのはさすがにどうかと思うので、“ある派遣会社”について知りたい方は、まだ日本のネット上に情報が残っていると思うので、各自で検索していただきたい。

ここでは、彼が書き残していた2008年1月20日と2008年1月25日の内容の一部について、少々掻いつまんで書こうと思う。

2008年1月20日の記録の中に、彼のいた葬儀社のアルバイト研修で、棺を使って、棺に納められる側の気分を体験してもらうために、棺に数十秒入ってもらうというのが出てきたが、これは葬儀社の企業方針などによって異なるので、すべての葬儀社や葬祭業者で行われているわけではないと言っておく。だが、近年は*1「終活」が叫ばれているのもあってか、2010年代には一部の葬儀社が自分が亡くなったときの雰囲気をイメージするために、イベント参加者を棺に入れて、棺のフタを数分間閉めるというイベントを行っているところもあったという。

次に、2008年1月25日の記録に出てきた「白木祭壇」と「生花祭壇」についてだが、現代のように生花祭壇を使った葬儀が多くなる前までは、彼を悩ませた(?)白木祭壇や簡易的な祭壇を使うのが主流だったという。

「白木祭壇」とは、白木(ニスや色をつけていない、カンナがけやヤスリがけをしただけの見た目がキレイな木材。)を組み立てて出来た祭壇のことである。対照的に飾れて、遺影やお供えの見栄えとバランスがカッコよく見えて、遺影に手を合わせる位置が分かりやすいとされている。そのせいもあってか、中高年の男性ほど「自分の葬儀の祭壇はコレで!」と希望する人が多かった。ちなみに、かつての日本の葬儀業界の中では「白木祭壇での飾り方が上手な人は、祭壇デザインの基礎が出来ていて、腕が立つ人」と判断されていた時代もあったらしい。
だが白木祭壇は、祭壇自体の初期投資額が1パーツにつき数十万円すること、白木祭壇の倉庫保管費、*2「洗い」などのメンテナンス費用がすごく掛かることから、多くの葬儀社の*3白木祭壇の利用料金は数十万円から100万円前後に設定されている。
しかし近年は、手頃な価格でメンテナンス費用が少ない生花の祭壇だけしか扱わない葬儀社や、白木祭壇のメンテナンス費用に嫌気を感じている葬儀社ほど「白木祭壇なんて、今どきダサいですよ」などと、セールストークの力で客に白木祭壇を選ばせないように誘導する葬儀社も年々増えているらしい・・・。

次に「生花祭壇」と言うのは、文字通り、本物のお花で出来た祭壇っぽい立体物のことである。日本の生花祭壇の第1号は、諸説あるが、1967年に日本武道館で行われた吉田茂元総理の国葬の祭壇と言われている。1980年代になるまで、生花祭壇で葬儀をするのはお金持ちか変わり者の人くらいだったらしい。
しかし1980年代に入ってからは、日本の芸能人や一般の人が葬儀に生花祭壇を使うようになり、2015年以降の葬儀の祭壇は生花祭壇というのが主流になってきているという。
しかし、生花祭壇を作るのは誰がやっても良いわけではないようで、日本の都市部の葬儀社や祭壇専門業者の求人では、「フラワー装飾技能士」か「フラワーデザイナー資格」を持っている人を優先するところもあるという。最近はこれらの資格のほかに、「フューネラルフラワー技能検定」という、2010年代に出来た生花祭壇と葬儀関連に特化した検定に合格したことがあるかというのを気にする葬儀社や祭壇専門業者もいるらしい。

ある現役の葬祭ディレクターの人曰く「リーマン・ショック後に葬儀の小型化は加速・定着したといえる。それは葬儀の「私事化」がいっそう進み、大勢化していることを示している。」という。

しかしこれを書いているのは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大している時代である。新型コロナウイルスで死亡した場合は、死亡確認したら急いで火葬というのがお約束になっている影響で、これらの祭壇の出番は少なくなっているという。おまけに、生花祭壇の材料であり、日本の冠婚葬祭などに欠かせない生花を育む専門農家は、新型コロナウイルスのせいで需要減になったせいで、廃業の危機を迫られている・・・。

→今度こそ、第5話へつづく・・・。


参考資料
一般社団法人終活カウンセラー協会「終活とは」
https://www.shukatsu-csl.jp/about_shukatsu
ガイアの夜明け』2012年5月22日 放送
第517回「素敵な人生の締めくくり方~注目高まる"終活"ビジネスの今~」
https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber4/preview_20120522.html
碑文谷創の葬送基礎講座23「葬祭業はどう変化してきたか? 戦後葬儀の歴史(下)」
https://souken.info/himonya23/
葬儀葬式ch有限会社佐藤葬祭 第878回「白木祭壇はなぜ高いの?」
https://www.youtube.com/watch?v=bYyVDeqxEzc&t=7s
葬儀のデスク「フューネラルフラワー技能検定とは|葬儀の場での役割を解説」https://sogidesk.com/knowledge/job/funeral-flower
一般社団法人フューネラル・フラワー技能検定協会
https://affa.or.jp/ 

*1:人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動のこと。

*2:白木の変色の改善処理のこと。

*3:利用料金の内訳は、祭壇自体のレンタル代と飾り付け(装飾)代や技術料と使用後のメンテナンス代を合わせたもの。