第43話:From SAT/ある青梅線沿線のパチンコホールのサービスと・・・。
2008年10月のある午後。
青梅線沿線の某駅で、テツローさんと待ち合わせた。理由は、テツローさんの個人的趣味の一つであるパチンコ目的だ。
(2008年)9月の取材中の雑談で、*1私の近所にあるパチンコホールVでは、*2ホットドッグが無料でもらえる時間があるという話をしたところ、興味を持ったテツローが、その目で確かめてみたいと、お互いのスケジュール調整をして、私の住んでいる青梅線沿線の某所にやってきたというわけである。
私たちは駅を出て、歩道橋の方へ歩く。
すると、歩道橋の真ん中の辺りでテツローは足を止めると私にこう言った。
テツロー「*3近くにトイレの芳香剤があるわけじゃないよね?キンモクセイの香りを強く感じる・・・。」
敏宮「いえ、無いです・・・。*4この辺りにはキンモクセイがたくさん植わっている場所があるので、この時期になると、そこから花の匂いが流れてきて、町中にキンモクセイの香りが充満するんですよ。」
テツロー「へぇー。トイレ以外でキンモクセイの匂いを感じ取ったのって、何年ぶりだろう。さすが田舎・・・。」
敏宮「・・・。」
テツロー「あ、すいません・・・。昔から、福生のパチンコホールまではたまに打ちに行っていたんですけど、この町の(パチンコホール)は始めてです。」
敏宮「最近まで、今から行くところのほかに、もう一軒(パチンコホールが)あったんです。*5昭和っぽくて、テツローさんが好きそうな木の床のホールだったんですが、どうも倒産されたみたいで・・・。今は、建物自体は解体されて無いです。」
テツロー「うわぁ~。それ、もっと早く知りたかった。」
敏宮「近々、マンションが建つそうです・・・。」
テツロー「そうなんだ・・・。」
私たちがパチンコを打っていると、客がいるパチンコ台1台につき、よく冷えた小さめの缶入り緑茶・1缶配っている。
しばらくすると、館内放送が始まった。
館内放送「ただ今より、ホットドッグの無料配布を行います。ご希望の方は地下カフェコーナーへお越しください。」
テツロー「本当に言ってる・・・。もらってこようか?」
こうして、彼はホットドッグをもらいに席を離れる。
少しして、テツローはホットドッグを2つ持って戻ってきた。1個づつ分けて食べた。出来て間もないのか、まだ温かった。
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テツロー「*6これって、パンが無くて、肉と野菜だけしかないハンバーガーみたいだね。」
これは、私が書いたあるシナリオ紛いの物をテツローが読んでいる際に発した言葉である。
パチンコホールVで3時間くらいパチンコを打った後に、*7駅の近くにあるファミレスに立ち寄る。
そしてテツローは、ドリンクバーの飲み物を飲みながら、事前にプリントアウトしておいた私が書いた原稿に目を通している。
1つは今あなたが読んでいるもの。そして、もう1つはテツローとの共同制作状態になっている、あるシナリオ紛いの物の一部だ。
後者の方はいつか世間に出すかもしれないし、このまま墓場へ持っていくかもしれない。
→つづく・・・。
参考文献
『日刊SPA!』2015年02月12日公開
売れ過ぎた!?「キンモクセイのトイレ芳香剤」が販売終了した理由
https://nikkan-spa.jp/788320
*1:2000年代から営業していたが、新型コロナウイルスの影響で2021年11月に閉店した。現在、跡地にはコインランドリーがある。
*2:私が覚えている限りでは、2009年3月まではホットドッグが無料でもらえる時間というものがあったが、その後消滅した。
*3:ボケとかではなく、本気で言っていた。ちなみに、昭和時代後期から平成時代前期まで、キンモクセイの花の匂いのトイレの芳香剤は大人気だった。しかし平成時代以降、日本のトイレ環境が整ってきたのと、“トイレ=キンモクセイの香り”というイメージになってしまったことで、その香りになじんでいた世代が親になり、昔のトイレの印象と重なることで敬遠されるようになり、1990年代後半から2000年代前半にかけて、キンモクセイの香りのトイレ芳香剤は日本中から消えたらしい。
*4:このキンモクセイの匂いが充満しているのは、2015年までは9月下旬から10月上旬だった。だが近年の異常気象の影響で、2016年以降は9月中旬から9月下旬になってきている。ちなみに2021年は、台風14号が関東地方に来たせいで植わっている場所に咲いていたキンモクセイの花がほとんど落ちてしまったために、キンモクセイの匂いの充満は9月10日から13日で終わってしまった・・・。
*5:このパチンコホールの跡地には、現在、出入口の側でライオンが待っている高級マンションが建っている。
*6:「唐突な設定や展開ばかりで、物語が安定していない」という意味で言ったのだろうと思われる。ハンバーガーのパン(バンズ)が物語を安定させる何かで、肉(パティ)が設定と展開・・・。どうでもいいことになるが、かつて「ハンバーガーとは、はさむ物とパンの包容力次第で美味い不味いが決まる」と論じるグルメ評論家がいた。