どうも。
既にご存知と思われますが、2010年代にテレビドラマ化された『BARレモン・ハート』の原作者の古谷三敏先生が12月8日に他界されました。
なお『BARレモン・ハート』は、現在も完結していない漫画という扱いになっているため、“未完の作品”になる可能性があります・・・。
改めて、古谷先生のご冥福をお祈りいたします。www.futabasha.co.jp
この数年、作者の急逝で連載が止まる漫画が増えています。このようなニュースを耳にする度に、私のかつての知人が言っていた次の言葉が脳裏を過ります。
“連載漫画を完結させることは一種のギャンブル・・・。”
いま連載を1つ抱えている(※私には何の利益もないけど・・・(^_^;;)私は、恐怖のようなものを感じます。
私が知っている作者の逝去が原因で連載が止まった漫画を挙げると・・・
手塚治虫『ネオ・ファウスト』
私が小学生の頃に読んだコミックス版の物では、読み進めていく内にページからペン入れや下書き跡が消えて行って白紙が数ページが続いて行ったのを観て、どこか切なくなったのを今も覚えています。
石ノ森章太郎『サイボーグ009』
この作品は1990年代に構想されていた「Conclusion God's War」というエピソードで完結する予定でしたが、石ノ森先生の逝去によって描かれることはありませんでした。
しかし、石ノ森が生前に残したプロットを基に、2001年にアニメ化されて、石ノ森先生のご子息で俳優・演出家である小野寺丈氏が再構成し、『2012 009 conclusion GOD'S WAR』をという執筆し、2006年に全3巻が角川書店(現・KADOKAWA)から発売されました。
更にその後、“サイボーグ戦士は21世紀の人間”という設定に変更され、それに合わせて改造される経緯も新解釈をしてコミカライズしたものが2014年2月まで、小学館のコミックサイトで配信されました。ishimoripro.com
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武田日向『異国迷路のクロワーゼ』
この武田日向先生は、過去にアニメ化されたことがある桜庭一樹氏の小説『GOSICK(ゴシック)』シリーズの挿し絵やトレーディングカードなどで活躍されていた方で、2000年代を代表する日本の“絵師”の一人でした。
しかし2017年に亡くなられたために、この作品は未完の作品になりました・・・(T_T)
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その一方で、いわゆる“絆の力”で、“未完の作品”になるのを回避したケースがあります。
例えば・・・
藤子・F・不二雄『ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記』
藤子先生は、この作品(『ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記』)の製作中に亡くなられました。
しかし、お亡くなりになった後に遺された原稿には、アシスタントの人にだけわかる記号と指示のようなものが鉛筆で書かれていたため、その後アシスタント人たちの手によってちゃんとした原稿となって、本になりました。
さいとう・たかを『ゴルゴ13』
記憶に新しいと思われますが、今年9月にさいとう・たかを先生が亡くなりました。『ゴルゴ13』の今後が心配されていましたが、さいとう先生の遺志で現在も連載が続いています。
そのようなことが可能なのは、さいとう先生が構築した「分業制」がちゃんと機能しているからです。
漫画作りは、アイデアを生み出す漫画家本人にかかる負担がすさまじい上に、アイデアを持つ漫画家自身の死はそのまま作品の危機となります。
しかし、さいとう先生が確立した分業制は、人物の作画の人(※ちなみに、さいとう先生が晩年まで描いていたのは、作品の表紙とコマの中の主人公キャラが出てくる部分だけだったらしいです。)・背景作画の人・武器の作画の人・ストーリーを考える人などに分かれているほかに、漫画作品の根源である脚本も外部の人の力を借りているので、漫画家一人の力に頼らないのでネタも豊富です。そのため、『ゴルゴ13』の最後のコマのところには、映画のスタッフロールみたいに関わった人の名前が表記されています。
これによって、もしも漫画家が亡くなっても、連載の続行が事実上可能です。
この分業制は、今ではアメリカ・中国・日本の一部のプロ漫画家と同人作家さんの中で使われているそうです。
あるアニメのキャラの台詞のように「私が死んでも代わりがいる」というのが、今後の主流になっていくみたいです・・・。
golgo13.com
www.saito-pro.co.jp